大学の価値をカネと数値で測る

多くの日本人にとってほとんど関心がないであろう「国際卓越研究大学」に関する記事が、ヤフーニュースに出ていました。

東京大学も当初から認定を目指していたので制度自身は知っていましたが、この記事にあるような内容は想像していませんでした。
たとえば、最初に認定された東北大学では、「論文数を現状の6791本から、25年後に2万4000本に増やす」という目標が掲げられているそうです。記事によれば、この数字は現在約3000人いる教員一人あたりの年間論文数を約2本から8本に増やすことを意味するそうです。
「学内外から『荒唐無稽』との声も上がっている」とのネット情報は確認できませんでしたが、私のようなフィールド(野外)の調査を基盤とする環境科学では、年間8本の投稿は現実的ではないと思います。私は水圏の現場環境に関する論文を比較的多く発表してきた方だと思いますが、それでも年間数本が精一杯です。

山室研究室_教員紹介_公表された仕事 :原著論文

論文の本数や外部資金の獲得額といった指標は、研究活動の一側面を示すものではあります。しかし、それだけを主要な評価軸として大学を序列化し、評価の低い大学が淘汰されても構わないという発想が制度の前提になっているのだとすれば、学問の本質から大きく外れていると思います。
東京大学は不祥事の影響で今まだ採択されていませんが、むしろ幸いだったのではないかと感じます。不祥事はあってはならないことですが、日本の「学問の府」としての矜持を、こういった数値目標とは別のところに置いてほしいと願わずにはいられません。