統合的農薬管理(IPM)とは、農薬だけに依存せず、耕種的・物理的・生物的防除など利用可能なあらゆる技術を組み合わせて病害虫や雑草を管理する手法です。
アメリカではUS Department of Agricultureの組織として統合的農薬管理を統括する機関であるRegional IPM Centersがあり、主に大学ベースで研究・教育・助成金の配分を行う情報ハブとして機能しています。
Geminiによると日本でIPMをになっているのは、農水省植物防疫課 + 各都道府県の病害虫防除所です。また大学への助成は期間限定の競争的資金が大部分です。これに対してアメリカではRegional IPM Centersを通じて、地域の大学のIPM活動そのものに予算が付き、学生の教育だけでなく地域の農家への直接指導までを大学が担うそうです。
農薬メーカーにとってIPMが進むと利益減少につながりそうですが、なぜアメリカでは政府が予算をつけてIPMを進めているのでしょう。
Geminiによると下記の理由があるそうです。
1. 農薬メーカー自身の「ビジネスの多角化」(最大の理由)
実は、現代の主要な農薬メーカーは「化学農薬を売るだけ」の会社ではありません。IPMが進むことを見越して、自らビジネスモデルを変革しています。
大手メーカー(Corteva、Syngenta、Bayerなど)は、天敵昆虫、微生物、植物抽出液などの「生物農薬」や、植物の免疫力を高める「バイオスティミュラント」の開発に巨額の投資をしています。これらはIPMの基幹技術であり、従来の化学農薬より利益率が高いケースもあります。
また現代の農薬メーカーは、ドローンや人工衛星を使った画像診断、AIによる病害虫発生予測システムなどのデジタル農業(スマート農業)ツールをサブスクリプション(定額制)などで提供しています。「農薬の量を減らすためのデータ」を売ることで、新しい利益を生み出しているのです。
2. 化学農薬の「効果の寿命」を延ばすため(利害の一致)
同じ化学農薬を大量に使い続けると、病害虫や雑草がその薬に対する「抵抗性(耐性)」を持ってしまい、薬が全く効かなくなります。
メーカーにとって、新しい化学農薬を1つ開発するには、10年以上の歳月と数百億円のコストがかかります。せっかく作った新薬が、乱用によって数年で効かなくなったら大損失です。
IPMによって「耕種的防除(輪作など)」や「生物的防除」を組み合わせ、化学農薬の使用回数を減らすことは、その農薬の寿命(製品寿命)を延ばすことになり、結果的にメーカーの長期的な利益を守ることにつながります。
3. 連邦政府が予算をつける「圧倒的な国益」
アメリカ政府(USDAなど)が予算を投じるのは、農薬メーカーの利益以上に、国家として以下の巨大なメリットがあるからです。
化学農薬の乱用による地下水汚染のクリーンアップ費用や、労働者・国民の健康被害による社会保障費の増大を防ぐ方が、政府にとってはるかに安上がりです。
また世界的に(特に欧州などで)農薬の残留基準は厳しくなっています。アメリカの農産物が国際市場で「安全なブランド」として選ばれ続けるためには、IPMによる減農薬の実績が不可欠です。
4. アメリカの「強力なロビイング機構」のバランス
アメリカでは、環境団体、消費者団体、そして何より「生産者(農家)団体」が強力な政治的ロビー活動を行っています。
農家にとって、高価な化学農薬を買い続けることは経営を圧迫する大きなコストです。「農薬代を減らして利益を上げたい」という農家側の要望は非常に強く、政治家もこれを無視できません。
結果として、政府の予算は「メーカーの売上を守る」ためではなく、「農業全体の持続可能性と、農家の経営を助ける」ために配分されるようになります。
生成AIであるGeminiの解説が全て正しいとは限りませんが、日本でも農薬や化学肥料は高額で、農家の負担になっているはずです。実際、福井県池田町では「農協から高い農薬や肥料を買い、言われた通りに作る」という依存から抜け出すために、町自らが独自基準を作って農作物を販売しています。
アメリカとイランの戦争が長引いて物価が高騰する今こそ、農家が高価な化学農薬を買い続けることを断念し、統合的農薬管理に舵を切ってほしいものです。