除草剤より問題なのは「雑草がないこと」? アマガエル観察記

6月23日に当歳アマガエルの状況を確認に行った畦に、昨日も採集に行きました。先週は除草剤が撒かれて雑草が黄色や黄緑に変色していましたが、昨日は完全に茶色になっていました。

それでも畦に分け入ると、先週や先々週と同じくらいの密度で、当歳アマガエルが跳ねて田んぼに逃げ込みました。密度を比較するために「1箇所で10個体を手づかみで捕まえるのに何分かかるか」を目安にしているのですが、先々週、先週と同様に、10分で捕まりました。ただし跳躍力が格段に上がり、一跳びで田んぼに逃げ込んでしまうため、1箇所に座り込む方法ではなく、3mほどを行きつ戻りつして、跳ねたカエルを手づかみする方法に変えました。

自宅の池に放したところ、目測では大きさは前週と変わりませんでした。しかしジャンプは一跳びで50cm以上先に達し、泳ぐ速度も倍以上速くなっていました。見かけのあどけなさは変わらないのですが、陸上生活を2週間以上経験して、だいぶたくましくなっています。

畦を歩いて無数のアマガエルが跳ねる中、1個体だけ、同じ大きさで茶色っぽい個体がいました。おそらくヌマガエルです。来週、もう少し茶色の個体が増えていれば、アマガエルより産卵時期が遅いヌマガエルの変態が始まったことになると思います。

もともと西日本を中心に分布していたヌマガエルですが、1990年代終わり頃に関東で目撃され始め、2000年代にかけて関東全域に分布を拡大しました。ヌマガエルとアマガエルは餌が同じであるため、餌の取り合いでアマガエルが減るのではないかとの懸念があるそうです。

今シーズンの観察から推定すると、この近辺の田んぼでゴールデンウィークに田植えを済ませ、畦へ除草剤をまくのが6月中旬であれば、影響は小さいと考えられます。アマガエルは田植えと同時に産卵するのに対し、ヌマガエルは水温が高くなってからの産卵になるため、アマガエルの方が先に変態して陸上生活に移行し、ヌマガエルとの競合の影響を受けにくいからです。一方、6月になってから田植えする田んぼでは、アマガエルとヌマガエルの産卵時期が近接します。その上、畦の雑草をしっかり草刈りしていると、たとえ無農薬栽培であっても、ヌマガエルが優勢になると思われます。

農薬が生態系に与える影響には直接的なものから間接的なものまであり、その全てについて安全性が確認された上で使用が許可されているわけではありません。今回のテーマである「除草剤がアマガエルに与える影響」については、除草剤がアマガエルの孵化や変態そのものに与える影響はほとんどないように見えました。田植えと同時に除草剤をまき、今の時期にも二度まきしている田んぼでは、変態直後のアマガエルは見当たりませんでした。隠れ場所がないため畦に出てこないのか、出てきても捕食されてしまったのか、そこまでは分かりません。ただしこれは「除草剤の影響」というより、畦に雑草がないことが原因と考えられます。実際、草刈りによって雑草がない場所でも、アマガエルはほとんど見られませんでした。

アマガエルは(ヌマガエルも同様に)昆虫を餌とするため、害虫も食べてくれます。害虫の隠れ場所になるという理由で、無農薬の農家でも畦の草を刈ることがあります。しかし、アマガエルが害虫を食べてくれるという観点に立てば、別の配慮の仕方もあるはずです。たとえば今回観察した畦のように、アマガエルが変態するまでは除草剤をまかない、あるいは根元から刈らずに隠れ場所程度の高さで残す、といった方法です。こうした配慮をすることで、アマガエルがヌマガエルに駆逐されることは避けられるのではないかと思います。