米国で商業養蜂コロニーの62%が死滅したそうです。2024年6月から2025年1月にかけてのことで、過去最大の被害とのことです。前年冬も55%が死滅しており、2年連続の深刻な事態です。
https://www.science.org/doi/10.1126/science.aea4270
USDA(米国農務省)の研究チームが原因を調べたところ、死滅したコロニーのほぼ全てから、寄生性のワモンダニが媒介するウイルスが検出されました。さらに調べたダニ39匹全てが、有効な駆除薬アミトラズへの耐性を持っていたそうです。アミトラズは残された数少ない有効な駆除薬だったので、これが効かなくなると養蜂家の選択肢はさらに狭まります。
ミツバチは米国で90種類以上の作物の受粉を担い、200億~300億ドルの農業収益に関わる存在です。それだけに影響は農業全体に及びます。
元になった研究論文(査読誌に正式掲載されたもの)は下記です
それによると、検出された主なウイルスの一部にDWV-A、DWV-B(Deformed Wing Virus 羽根変形ウイルスの株A・B)が含まれていました。
下記プレスレリースから推察するに、少なくともDWV-Aは、もともとの宿主はトウヨウミツバチで、近年になってバロアダニを介してセイヨウミツバチにも感染するようになったようです。一方のDWV-Bは起源がはっきりせず、まだ研究途上とのことです。
さらには、アミトラズという殺虫剤はもともと家畜用・農業用のダニ駆除剤として開発されたものでした。たまたまミツバチには比較的害が少なく、かつワモンダニには効果があったため、養蜂の現場でも「ミツバチ用のダニ駆除薬」として転用されてきたようです。長年、広範に使用されてきた殺虫剤に対する害虫の薬剤耐性進化も、アメリカでの商業養蜂コロニーの62%が死滅という深刻な事態を招いた一因と言えます。
生きものはつながっています。農業にしても養蜂にしても、いきものの恵みをお裾分けしてもらう営みなのですから、特定の生きものを不自然に減らす行為は、回り回ってしっぺ返しになる典型例だと思いました。